市民公園の立ち話

社会人1年目です。人生頑張っていきましょう。https://note.com/natsuki_aikawa (2020年5/6〜)

持つもの、持たざるもの

高校生の時の話

 

事実は小説より奇なりとはよく言うけれど

小説やドラマで見るようなことは実際起こりうるものだ

 

高校生が道を歩いてたら、怖いお兄さんにカツアゲされるとか

実際に起こり得るものだ。

 

ていうか実際に起こった。

 

部活からの帰り道、午後14時くらいに最寄り駅についたのかな。

駅をでてとことこ歩いてた。

休日の午後14時なんて人通りはまばらだ。

 

疲れてたから足早に歩いてたら

なんか後ろから声が聞こえた気がした。

気のせいっぽいからそのまま歩いてたらもう一回声が聞こえた。

 

なんだろうと思って振り返ったら

金髪の男がこちらに向かって歩いてきた。

 

細身だけど身長がちょっと高い

スプレーでがちがちに固めたモヒカンチョウチンアンコウヘア

自分の地元には似つかわない風貌だ。

 

そこから先はテンプレートのような

全国のお手本となるようなカツアゲが始まった。

金出せ、ぶち殺すぞと脅してくる。

 

それでも私は強気だった。

全然怖くはない

いや、ちょっとは怖いんだけど、カツアゲに対する恐怖はない

 

だってお金がないんだもの

高校生の財布、小銭300円しか入ってなかった。

カツアゲマンにとってはバッドタイミングだ。

 

「金出せ」

「出さないです」

「いいからだせ」

「持ってない」

「嘘つけ、出せや」

「持ってないです」

 

永遠に続く押し問答

 

「1000円でいいからだせよ」

「1000円でもいいのに持ってないです」

「嘘つけなんで1000円も持ってないんだよ」

「こっちが知りたいですよ」

 

さすがに呆れ始めたカツアゲチョウチンアンコウ

 

「わかった、財布見せてみろ」

「ほんとにないですよ」

「札が一枚もなかったら見逃してやる」

 

財布を開く、寂しげに出てくる300円

 

「・・・ほんとにないんだな」

「ほんとにないんすよ」

 

カツアゲチョウチンアンコウは「ごめん、悪かった」と言って離れていった。

ガンジーもびっくりの非暴力非服従

 

なんで謝られたかはわからない

カツアゲをする人も、根っからの悪い人じゃなかったのかもしれない。

もしかしたら本当に帰りの電車賃がなかっただけなのかもしれない。

 

カツアゲにあうようなドラマはあっても

カツアゲに金持ってないことをみせて謝ってもらうストーリーは

未だかつてないのではなかろうか。

 

 

持たざる者、強し